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星野道夫展「星のような物語」>松屋銀座

 今日は、昨日から公開したソクーロフ監督「太陽」を鑑賞するため、銀座シネパトスへ。少し早めに行き、今週スイッチ主催の星野道夫プロジェクトの予習として、映画館へ行く前に星野道夫展「星のような物語」の鑑賞で銀座松屋へ。

星野道夫メモリアル特別企画

 写真家星野道夫は、26歳の時アラスカに渡り、以後18年間そこに住みアラスカに住む生き物や原風景、そこに住む人々の生活を撮り、また文章で記録し続けていました。
 アラスカを撮りたいという思いから写真家としての道を選び、動物写真の第一人者である田中光常氏の助手を務めました。

 私のライフログにも載せていますが、「表現者」という本を人にプレゼントするため買って読んだのが切っ掛けで、星野道夫のことを詳しく知りました。その言葉の数々は、生きるための教訓のようで、考えさせられるエピソードや言葉ばかりでした。日々アラスカという地で写真を撮ることは過酷なことだったことでしょう。

 彼は熊をこよなく愛した人間でした。学生時代、日本で生活している際、常に北海道の熊のことばかり考えていたといいます。こうしている間にも熊は何をしているのか。
 そして、古本屋で見つけた、ナショナルジオグラフィックソサエティ出版の「ALASKA」という本を見つけ、そこに写っている原風景の写真、"シシュマレフ"というエスキモー村に魅せられ、6か所のエスキモー村に手紙を書きます。半分以上が住所先が不明で戻ってきてしまいますが、"シシュマレフ"から村へ招かれる返事が届き、それがアラスカへの手掛かり、道しるべとなるのです。
 
 この展覧会で、その手紙の原本が展示されていました。星野道夫が始めて滞在したシシュマレフ村の記録のアルバムと一緒に日記のノートなども展示されていたことが何よりも感動でした。

 デパートの特設会場でやる展覧会は人も多く、展示法も恐らくパネル展示だろうなと思っていたのであまり期待せずに入ったのですが、やはり大きく引き延ばした写真が230点もあると圧倒で、展示法などにはこだわらず写真一点一点をじっくり見ました。印画紙プリントだったので、それが救いです。
 
 彼の写真を撮る時の姿勢、緊迫さと凄まじい集中力を写真からは感じられます。特に白熊とアザラシの写真は穏やかな気持ちで、きっとじっくり撮られたものなのでしょう。お祈りをしているように手を合わせ瞑想している白熊の姿に、これは凄い写真だと感じました。

 『この動物に魅せられるのは瞬間を生きているからだ』というようなこの言葉も『これから旅には何が待ち受けているか分からないけれどいつも白地図を広げてまっさら気持ちで撮りたい』こんな意気込みも尊敬すべきことです。

 けれど、星野道夫は今はこの世にいません。1996年8月8日、ロシアのカムチャッカ半島に取材で同行した時、ヒグマの事故により急逝してしまいました。皮肉な事故です。

 星野道夫の言葉や写真は、学校の教科書にも載っているため、大勢の子供たちが親子で訪れ、子供はその写真をじっくりみていました。言葉も読んでいました。ああ、この子はきっと星野道夫が心の志になり大人になっていくのかなあ。と感じました。

 写真を見る目を持つこととは別に、それも大事なことだなと思います。

 「太陽」のことはまた次に。

星野道夫公式サイト

Sora


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by sora_atmosphere | 2006-08-07 01:28 | 展覧会/Exhibition