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『善き人のためのソナタ』

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 全国ロードショーの時期を過ぎていますが、現在また上映を始めたようです。

 『善き人のためのソナタ』
 この映画、気になっていたのです。今日が最終日だった恵比寿で鑑賞しました。




 ドイツは、政治的にはナチのこと以外ほとんど知らなかった私ですが、この映画を元に繋がってきたこともあって、次第に気持ちが高まり、特に最後はなんともいえない感動に包まれ席を立つ前に、一息ついたほどでした。



 舞台は、1984年の東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)が東ドイツの人々を監視していた時代。劇作家のドライマンと舞台女優であり、ドライマンの恋人でもあるクリスタが、国家に対し反体制であるとして証拠を掴むようにと命じられる、主役の局員ヴィースラー(上の写真)。盗聴器などを部屋に仕掛けて、日々盗聴している所。



 最後には、薬物投与の現行でクリスタは捕まり、ドライマンの機密をクリスタは漏らさずにいられないほど追い込まれてしまうのだけれど。ヴィースラーは、盗聴を繰り返すことで、自分の考えを変えられてしまう。社会主義国であった頃の恐怖と、一個人としての考えの矛盾が次第に過る。


 西ドイツに、現在の東ドイツの現状を漏らすことは、社会的には犯罪と同じ行為。でも、個人的な思想としてはどうだろう。私は、ドライマンの考えはうなづけた。社会に追い込まれて、芸術家を始め、たくさんの国民が命を落とすということは、社会、国全体が犯罪者としか思えない。それを変えようとしたのだから、でもそういう正しいことことをすればする人ほど追い込まれていた時代。
 あまりにも、辛く苦しいものに違いないと思った。社会主義国家とはこういうものなのだろうか。

 自分の身を削ってまでドライマンを救ったヴィースラーに、私は感動した。この役者の演技も良かった。



 それにしても、こんな秘密組織があったことには驚きを隠せない。最後のラスト「HGW XX/7に捧げる」「これは私のための本だ」と言う言葉に胸を打たれた。
 見ていて辛い部分もあったけれど、心温まるヒューマンドラマだ。

Sora


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by sora_atmosphere | 2007-06-22 21:49 | 映画/Cinema