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『約束の旅路』

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 1984年。
 生き延びるため、エチオピアからユダヤ人と偽って、イスラエルへ脱出するようにと母親から命じられる9歳のエチオピア少年シュロモ。

 肌の色の差別や、宗教の壁。ユダヤ人と偽っていることへの葛藤を受けながら、少年はやがて、自分の道を歩み始める。



 エチオピアのユダヤ人をイスラエルへ、空輸で移送させる<モーセ作戦>(1984〜1985)が実行されていた。この作戦で、8000人がイスラエルを渡ることが出来た。しかし、途中飢えや襲撃や疲労、襲撃や拷問で4000人が命を落とした。







 この映画『約束の旅路』を製作したラデュ・ミヘイレアニュ監督は、実際に<モーセ作戦>によって生き延びたエチオピア系ユダヤ人の男性から、イスラエルに移住した人々の苦境の話を聞き、この映画の製作に踏み切ったそうです。


 ユダヤ人だということを偽らなければならなかった主人公。
 監督の言葉で「個々のアイデンティティーが揺さぶられたとき、人は自分の周りに壁を作ってしまう傾向もありますが、私が大切だと思うのは、そうしたときに異文化を拒否したり、逆に自身のアイデンティティーを否定するといった両極端に走るのではなく、両者の一番よいバランスを見つけることです」


 人種差別はなくなることはないのかもしれません。けれど、自国のアイデンティティーに誇りを持つことで、他国の良いところを学び、自分自身を豊かにしていくことが大切だと。この映画のコンセプトとなっているようです。


 6月1日まで、岩波ホールで上映中です。

Sora


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by sora_atmosphere | 2007-04-14 18:27 | 映画/Cinema