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ビル・ヴィオラ:はつゆめ>森美術館

 昨日は、雨が降る中、行ってきました森美術館へ。

 8日(月祝)まで、開催の『ビル・ヴィオラ;はつゆめ』展を鑑賞に。



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 ポスターにもなっているこの映像は、<ミレニアムの5天使>というヴィデオ・サウンド・インスタレーションという作品の一部で、1展示室に同時に4作品(ダイブする映像を水中から撮影している)の映像が流れています。どれも、逆からの再生。ダイブする人を「天使」に見立てているようです。

 1981〜2004年までに制作された16点の作品が出展されていて、かなり見がいがありました。

 最初の部屋の<クロッシング>。一人の人間が、向こうから歩いてきて手前で、水に打たれるという作品から圧倒され、次から次へとビデオテクノロジーを駆使して制作されたその映像に、ただ静かに見据えるばかり。それはまるで、禅の静けさのよう。

 ビル・ヴィオラ自身も、1980年代に奨学金で、180日間日本に滞在していた経験があって、禅思想や能といった、日本の伝統芸能から多くを学んだとのこと。この作品も滝に打たれるという修行僧からヒントを得たのでしょうか。

 タイトルにもなっている<はつゆめ>という56分の作品なのですが、ここには展示されておらず、12月まで3回だけ特別に上映されていたようです。見てみたかった。



 私が気になった作品は、<驚く者の五重奏>という作品で、暗室に設置されたスりーン(サテンのような透けている柔らかい素材)に、ヴィデオ映像が投影されています。スクリーンは、8枚ほど配列されてあって、右と左側から投影されているのですが、正面から見るより、ななめ45℃くらいの角度から見た方がいいのです。
 投影されている映像の光が、スクリーンで屈折して3Dのように立体的に浮かび上がっているのです。カメラの凸レンズの応用のよう。

 森や洞窟内を彷徨う男女の姿が、左と右と別々に投影されていて、出会うことのない(交わることのない)関係を意味しているようですが。前にも書いたように、心の声(叫び)が叫びだしそうになり、これは凄く良かった。旅をしている時と同じ感情が働きかけてきました。

 どの作品もスローモーションで上映され、人間の感情一つ一つを探り出すように見据えることで、どこか自分との心の対話を計り、確かめていくということにただただ徹していくという時間旅行。

 どの作品もじっくり観ることで、眠っていた意識が高まっていく。そんな展覧会。明日までですが、お勧め。

Sora


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by sora_atmosphere | 2007-01-07 13:44 | 展覧会/Exhibition